青木祐奈とはどんな選手?四大陸優勝までの歩みと今季の見どころ

選手情報

2026年の四大陸フィギュアスケート選手権で優勝した青木祐奈選手。「突然現れた選手なの?」と思った人もいるかもしれません。実はノービス時代から高難度の連続ジャンプで注目され、けがや成績の停滞を経て、24歳で主要国際大会の頂点に立ちました。

代名詞の3回転ルッツ-3回転ループは、子どもの頃から磨き続けてきた技です。その歩みと、2026-27シーズンに見るべき演技のポイントをたどります。

青木祐奈は24歳で四大陸を制した選手

青木選手の基本情報を押さえると、「遅咲き」と呼ばれる理由も見えやすくなります。

2002年生まれ、四大陸で初出場初優勝

青木選手の基本プロフィールは次のとおりです。

  • ●2002年1月10日生まれで、2026年9月時点で24歳
  • ●現在の所属は日本建物管財NTK
  • ●2026年四大陸選手権で初出場初優勝

「MFアカデミー」は以前の所属表記です。移籍後に指導を受けた環境の名前としても、競技歴をたどる際に登場します。

2026年1月、北京での優勝時には合計217.39点の自己ベストを記録しました。「遅咲き」という言葉は、競技を始めたのが遅いという意味ではありません。早くから期待を集めながら、シニアの主要国際タイトルには長い道のりを経て届いた、という意味です。

なお、連盟の現行選手プロフィールには「2025 ISU四大陸フィギュアスケート選手権大会 優勝」とある一方、連盟の大会案内は開催期間を2026年1月としています。この記事では実際の大会年に合わせ、2026年四大陸選手権と記します。

ノービス時代から続く3回転ルッツ-3回転ループ

青木選手の強みを知るには、現在の得点だけでなく、幼い頃に身に付けた技へ目を向けたいところです。

5歳で始め、ノービスの全国大会で優勝

スケートを始めたのは5歳頃。6歳頃から都築章一郎コーチの指導を受け、2014年には全日本ノービス選手権の女子Aで優勝しました。年上の選手が出る全日本ジュニア選手権でも5位に入りました。この頃から難しい連続ジャンプにも挑み、将来を期待されていました。

ですから、四大陸優勝までの年月を「突然のブレイク」で片づけると、大事な部分を見落としてしまいます。若い頃から実績があり、その後に苦しい時期も過ごした選手なのです。

3回転ルッツ-3回転ループは12歳頃の挑戦から

青木選手を象徴するのが、3回転ルッツ-3回転ループ。2つのジャンプがどうつながるかを知ると、その難しさが見えてきます。

最初の3回転ルッツ

着氷した足で、続くループへ入ります。最初のジャンプを降りる姿勢が乱れると、2本目にも影響します。

2本目の3回転ループ

連続ジャンプではトーループを付ける構成が一般的です。青木選手は着氷から次の踏み切りへつなぐ精度が求められるループを組み合わせています。

本人のインタビューによると、12歳頃に都築コーチからセカンドループへの挑戦を勧められました。単独のループが得意だったこともあり、中学1年の頃からプログラムに組み込みます。その後も同じ組み合わせをプログラムに入れ続けました。子どもの頃の得意技を大人になっても競技で磨いてきたことが、代名詞と呼ばれる理由です。

観戦するときは、最初のルッツを降りた瞬間から2本目へどうつなぐかを見てみてください。長年磨いてきた技の面白さが伝わります。

けがと環境変更を経て国際舞台へ

順調に才能を伸ばした時期の後には、けがと試合で結果が出ない時期がありました。そこから指導環境を変えたことが、キャリアの転機になります。

けがと2021年全日本SP30位を経験

ジュニアへの移行を前に腰椎分離症を発症し、2019年には左足首を骨折しました。若い頃に持っていた技が、そのまま安定した成績につながったわけではありません。

けがから戻っても試合で思うように滑れず、自信を失った時期を本人は振り返っています。高難度の連続ジャンプにこだわる一方、練習で跳べても試合では失敗する苦しさがありました。

2021年12月の全日本選手権では、ショートプログラムで30位となり、フリーへ進めませんでした。それまで指導を受けていた都築コーチのもとを離れるのは簡単ではなかったものの、本人はこの大会の後、環境を変えることを考えます。競技を続けながら成長するための選択でした。

中庭健介コーチのもとでジャンプを磨き直す

青木選手は2022-23シーズンからMFアカデミーに加わり、中庭健介コーチらの指導を受けました。本人が印象に残ったと話すのは、ジャンプを失敗したとき、ただ直し方を教わるのではなく、何が違ったのかを自分で考える練習です。

動きを言葉にして振り返ることで、修正すべきところが分かりやすくなったといいます。3回転ルッツ-3回転ループも試合で安定してきたと、本人は移籍後の変化を語っています。環境を変えたことは大きな転機ですが、それだけで優勝したと単純化はできません。都築コーチのもとで築いた技術を、新しい環境で磨き直した流れとして捉えるのが自然でしょう。

2023年NHK杯5位から2024年は3位へ

四大陸への初出場に至る直近の節目は、次の順番でたどれます。

  1. 12023年、GPシリーズのNHK杯に初出場して5位
  2. 22024年、NHK杯で3位となり、GPシリーズ初の表彰台へ
  3. 32025年、全日本選手権で5位に入り、翌月の四大陸へ

この数年の結果を並べると、四大陸の金メダルは単発の好調だけでは説明しきれません。もちろん大会ごとに演技の出来は変わります。それでも、国内の大きな大会とGPシリーズで経験を重ね、国際大会の頂点に届くまでの道筋は確認できます。

2026年四大陸で技術と表現がかみ合った

2026年四大陸選手権の優勝には、順位だけでなく演技の内容にも青木選手らしさが表れていました。

SP2位からフリー1位、合計217.39点で逆転

ショートプログラム(SP)は2位。フリーで1位となり、合計217.39点で逆転優勝しました。初出場の大会で自己ベストを更新した結果です。2位は中井亜美選手、3位は千葉百音選手で、日本女子が表彰台を独占しました。

両プログラムで3回転ルッツ-3回転ループに挑みながら、フリーでは映画『ラ・ラ・ランド』の世界を演じました。武器のジャンプを決めるだけでなく、プログラムを通して見せることが、優勝を語るうえで欠かせません。

物語と会場に届く動きを大切にする

青木選手は大会後の会見で、表現の作り方を具体的に話しています。

物語の作り方

映画の曲なら物語に沿い、そうでない曲なら自分で物語を考えて表現を作ります。プログラムを一本の作品として届けるための考え方です。

会場への届け方

上の階の観客まで届くよう、空間の使い方を意識しています。音楽の展開に合わせた動きを、遠くの席からも伝わるものにしたいと考えています。

見せ方の調整

手先や顔の向きを映像で確かめ、理想に近い動かし方を探っています。細かな動きも、練習中に見直しているそうです。

ジャンプとともに、物語をどう見せ、観客へ届けるかを見てみると、青木選手の演技の印象が変わるかもしれません。

2026-27シーズンは新プログラムとGPに注目

四大陸で優勝した後も、競技を続けるかどうかは本人にとって簡単な決断ではありませんでした。新シーズンの姿は、その選択の続きにあります。

進退を悩んだ末に2026年4月に続行を表明

青木選手は数シーズンにわたり進退について考え、四大陸優勝後もすぐに結論を出せなかったといいます。そして2026年4月、2026-27シーズンも現役を続けることを表明しました。優勝という結果が出ても、今後の進路について迷う時間があったことは、本人の言葉から伝わってきます。

8月には今季について、自分のスケートを磨き、表現の幅を広げたいという考えを話しました。続けると自分で決めたうえで、作品をより良くしたいという意欲が、新しいプログラムにも向けられています。

今季は新プログラムでフランス大会とNHK杯へ

テレビ朝日のGPシリーズ選手情報に掲載された2026-27シーズンの曲と振付師は、次のとおりです。

種目 使用曲・作品 振付師
ショート Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる) ケイトリン・ウィーバー
フリー シルク・ド・ソレイユ『O』『KA』ほか シェイリーン・ボーン

ショートについて本人は、見ている人を引きつけ、会場と一体になって盛り上がりたいと話しています。フリーは前季の映画『ラ・ラ・ランド』から作品が変わりました。曲の世界をどう形にし、ジャンプやスケーティングとつなぐかに注目したいところです。

2026年9月23日時点で、GPシリーズはフランス大会とNHK杯に出場予定です。NHK杯の出場予定選手にも掲載されています。エントリーは変更されることがあるため、観戦前には大会公式情報を確認してください。

まとめ|青木祐奈の歩みを知って今季の演技を見る

青木祐奈選手は、5歳でスケートを始め、ノービス時代から高難度の連続ジャンプで注目されてきました。けがや2021年全日本での悔しさを経て指導環境を変え、2024年NHK杯3位、2026年四大陸優勝へと進みました。

「遅咲き」は、才能が見つかるのが遅かったという意味ではありません。長く続けた技術を磨き直し、表現を深めて、24歳で大きなタイトルをつかんだ歩みを表す言葉です。新シーズンはルッツ-ループのつなぎとともに、曲の物語をどう届けるかにも目を向けてみてください。

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